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野球の試合に欠かせない存在、メジャーリーガーも輩出した名門野球校出身の実力派“ウグイス嬢”【Baseball Goddess Story vol.3】

野球の試合に欠かせない存在、メジャーリーガーも輩出した名門野球校出身の実力派“ウグイス嬢”【Baseball Goddess Story vol.3】

Baseball Goddess Story / Episode.3
出身高校:星稜高等学校


今や野球の試合を進行するために欠かせない場内アナウンス。務めているのは場内アナウンサーと呼ばれる通称“ウグイス嬢”である。野球の試合においてウグイス嬢は、球場にいる全ての人に声を届けられる唯一の存在。そのため、来場者や試合に携わる裏方、そして選手も“ウグイス嬢の声”があるから次の展開へとスムーズに移ることができる。そんな野球場の案内人とも呼べるウグイス嬢はどんな人がやっているのか。今回の「Baseball Goddess Story」は、ニューヨーク・ヤンキース GM特別アドバイザーを務める元メジャーリーガー 松井秀喜氏を生んだ星稜高校の野球放送部出身、場内アナウンス歴10年の実力派ウグイス嬢が登場。
 

〈PROFILE〉
川野 優里亜(Yuria Kawano)
石川県金沢市出身。星稜高校野球放送部に入部後、毎週末の練習試合で場内アナウンスを3年間担当。2年時には野球部が甲子園に出場。高校卒業後は金沢星稜大学に進学し、テレビ金沢の学生リポーターや、北國新聞社の北國フォトクイーンを経験。大学卒業後は、放送局のキャスターとして、朝や夕方の番組に出演。現在は、石川県野球協会の球場アナウンサーとして、中学野球や社会人野球などの試合で場内アナウンスを担当している。


高校時代、野球放送を始めようと思ったきっかけを教えてください。


川野さん(以下:川野。敬称略)最初は夢のためでした。小学5年生の時からアナウンサーになることが夢でした。高校受験で第一志望の高校に合格できず、人生が終わったと思うくらい落ち込んでいた時、星稜高校の野球部に野球放送があることを知りました。スポーツ未経験の私でしたが、アナウンサーになるために、何か経験を積みたいと思い、野球の世界に飛び込みました。野球に関しては、ルールもポジションもスコアの書き方も最初は何も分かりませんでした。今思うと不思議なくらいの行動力だったと思います。毎日、野球の勉強をして、野球のアナウンスの研究をして、気づいた時には野球なしでは私の人生は語れない程になっていました。

 

星稜高校野球部の良いところはどんなところですか?


川野何事も「必笑」なこと。 星稜野球部には「必笑」というスローガンがあります。試合でどんな逆境の場面でも笑顔を絶やしません。そんな姿を見ると、選手たちの野球への愛が伝わってきます。

 

野球放送部はどんなことをやる部活動ですか?


川野毎週末に野球部がおこなう練習試合の場内アナウンスが主な活動でした。夏の大前には選手や監督、コーチのお守りを作ったり、バレンタインのチョコを作ったりしていました。その他、公式大会の大会補助員など、野球部をサポートするような部活動でした。

 

高校時代につらかったこと、嬉しかったことはどんなことですか?


川野私は夏の県大会の開会式の司会を目標にしていました。365日1日3時間は発声練習、登下校は録音した甲子園のアナウンスを聴き続けました。自宅では、練習試合のスコアブックを見ながら選手交代の練習をしたり、野球の試合を見る時はアナウンスの声や言い方を注意深くきいていました。ここまで努力できたのは「今日の試合、ゆりあのアナウンスなら頑張れる」「アナウンス上手くなってきたね」と選手たちに言われたから。

頑張って努力して良かったと思いましたし、選手がアナウンスを聞いてくれているんだと思い、本当に嬉しかったです。今でも社会人野球の大会でアナウンスをしていますが、元星稜野球部の同期や後輩が声だけで「ゆりあのアナウンスってわかったよ」と言ってくれます。本当に嬉しいですね。

 

川野さんにとって甲子園はどんな場所ですか?


川野私の代では甲子園には行けませんでした。だからこそ『夢の場所』と言いたいところですが、勝つか負けるか分からない、悔し涙か嬉し涙か、 色んな感情が交差する場所でもあると思います。勝つチームがいれば、 負けるチームがいる。でも、勝敗が決まったあと、相手チームの選手同士で背中を叩いて抱き合ったり、かたい握手を交わす様子は、やはりグッとくるものがあります。甲子園はいろんな球児たちの想いが詰まった場所ですね。

 

社会に出て野球放送部を経験していて良かったと思うことはありましたか?


川野2014年 石川県の夏の決勝戦、星稜高校が0対8で負けていた中、9回裏に起きた逆転劇をご存知でしょうか。星稜野球部の、必ず笑うと書いて「必笑」というスローガンが体現された試合で、どんな逆境になっても笑顔を絶やさない選手の姿に私は胸を打たれました。私は彼らと出会い、精神的に強くなれたと共に、どんな状況でも前向きに笑顔でいれば、思考も環境も良い方向に変わるんだということを教えてもらいました。

もう1つ、ありがたいことに「星稜高校」の知名度が高く、それで野球部となると野球界でも知ってくださっている方が多く、色んな方とお話ができることが大きいなと感じています。就活の面接では野球の話で盛り上がれましたし、社会人になってからも野球を通じて様々な方とお会い出来る機会があり、大変ありがたいです。

 

石川県野球協会球場ウグイス嬢を務められていますが、ウグイス嬢はどんな仕事ですか?


川野石川県野球協会では、学童野球や中学野球から社会人野球、還暦野球までと幅広く様々な試合の場内アナウンスを担当します。試合の場内アナウンスだけでなく、公式記録員や BSOなどのスコアボートの入力もおこなっています。 私は場内アナウンスを担当する時は、学童野球や中学野球は、いかに甲子園っぽいか、社会人野球は、いかにプロ野球っぽいかを意識しています。学童野球で場内アナウンスがあることはあまり多くないので、保護者の方が「甲子園みたい!」って喜んでくれると、本当に幸せですね。 見ていると、審判さんがアナウンス待ってるなとか分かったりするんです。
バッターボックスのサークルに選手が入ってすぐアナウンスするのが、審判さんが一番良いタイミングらしいです。でもタイムがかかったり、ピッチャーがボールを投げたらアナウンスしてはいけないので、タイミングも大事なんです。 選手交代もパッと言われた瞬間にすぐスコアブックに順番を書いて、アナウンスするというのも癖付けて、いかに早く、試合を滞らせないようにするかっていうのをもうずっと練習してきました。

いかに素早く、間違えずに、聞いてる人が分かりやすいように伝えるか。急ぐとイントネーションがめちゃくちゃになったりするので、いかに落ち着いて正確なアナウンスができるか、常に考えてずっとやってきました。このアナウンスを聞いて、選手がやる気がでてくれたら嬉しいですね。
 

温泉ソムリエや防災士など、様々な資格もお持ちですが、今後どのようなお仕事に挑戦していく予定でしょうか?


川野両親が温泉好きで、幼い頃から全国の温泉地によく連れてって行ってくれたので、大人になっても温泉旅行によく行っています。その度に、大好きな温泉をより詳しく知りたいと思い取得しました。好きな温泉地は、道後温泉と湯布院です。防災士は、日頃のニュースや気象情報をお伝えする中で、より深く理解をして伝えたいと思い取得しました。 私が住んでいる石川県は、近年地震や大雨などの自然災害が多いため、防災を意識するようになりました。今は気象予報士の勉強中です。今後、野球の資格や指導者の資格も取得する予定です。野球が好きというだけではなく、しっかり説得力をもって伝えたいと思っています。 もちろん野球に限らず、様々な分野でマルチに活動したいので、今後も色んな資格を取得したり、経験を積みたいと思っています。

これからの人生の目標があれば教えてください。


川野私は星稜高校野球部に入って、3 年間選手の苦悩や喜びを間近で見たからこそ"人の思いを伝えたい"と感じるようになりました。去年の夏の高校野球石川県大会では、決勝のスタンドリポーターを担当しました。「グラウンドにいる選手たちもつられるくらい笑顔で応援したい」「声は出せないけど笑顔で手も体も大きく使い応援したい」など、選手やチア部、保護者の方の声を自ら取材したことで、みなさんの大会に込める熱い思いを、気持ちを込めて伝えることが出来たと思っています。これからもアナウンサーとして“人の思い”を大切に伝えていきたいです。 そして、「憧れている甲子園球場で場内アナウンスをすること」が私の夢です。

 

Information
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甲子園出場校の実力派ウグイス嬢は現在、大会アナウンスをはじめ、イベントMCや保護者へのアナウンス講習会をおこなうなどマルチに活躍中。川野優里亜さんのアナウンスを聞いた日は試合が盛り上がること間違いなしです!


Photo:Naoki Muramatsu
Edit:ミスター甲子園 


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