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甲子園の歴史を変えた野球部マネージャー、芸能活動で目指す新たな夢舞台【Baseball Goddess Story vol.1】

甲子園の歴史を変えた野球部マネージャー、芸能活動で目指す新たな夢舞台【Baseball Goddess Story vol.1】

Baseball Goddess Story / Episode.1
出身高校:大分高校


トップレベルの表舞台で戦うスポーツ選手にとって、裏方でサポートしてくれるスタッフはとても大切な存在。日本中が熱狂したWBC2023においてもプロフェッショナルなサポートメンバーがいたからこその結果とも言えるだろう。高校野球におけるマネージャーの存在も非常に大きく、日々の練習サポートや試合時のアナウンス、大会前には選手のメンタルケアなど、甲子園を目指す高校球児をサポートする大切な存在。本企画はそんなサポートのスペシャリストとして野球部の甲子園出場を支えたマネージャーにスポットライトをあてた企画「Baseball Goddess Story」。第1回目は甲子園の歴史を変えた大分高校出身の元マネージャーが登場!

〈PROFILE〉
首藤桃奈(Momona Syuto)
大分県大分市出身。マネージャーとして所属していた大分高校野球部が2016年夏に甲子園出場。3年生夏にはノッカーの補助として甲子園の土を踏むも、高野連関係者から安全性を理由にグラウンドから出るよう指示があったことで「女性差別」といった批判が起こり、日本中で議論が過熱。翌年からは女子部員の参加が一部で認められ、甲子園の歴史を変えたマネージャーは大分高校を卒業後、大学で英語を学ぶために留学を経験。大学卒業後はグローバル企業で働き、現在はフリーランスで芸能活動をしながら活躍中。

 

野球部マネージャーになったきっかけを教えてください。


首藤さん(以下:首藤。敬称略)二つ上の兄が幼少期から野球をしていて、最初は兄のマネージャーになりたい!と思っていました。大分高校は中高一貫校で、大分中学に入学した私は中学3年生の頃大分県大会の全校応援に行き、そこでの大分高校野球部の先輩方のプレー、また所作や気配りに惹かれ、"大分高校の"野球部マネージャーになる!と決めました。
 

マネージャーはどんなサポート業務をやるんですか?


首藤おにぎり、カレー、洗濯、ドリンク準備、洗い物、ゴミ拾い、部室掃除、道具部屋整理、ノック補助、バッティング補助、道具修理、ティー上げ、ボール拾い、アイシング作り、来客へのお茶出し、ミーティング時のコメントをノートに写しその後グループLINEで流す、等を毎日行ってました。

 

マネージャー時代につらかったこと、嬉しかったことはどんなことですか?


首藤辛かった事は特にないですが、難しかったことは、同期が30人いて、30人それぞれ個性があり、その日のテンションがあり、試合の個人成績があり、表情とおはようの一言のトーンで大体のテンションレベルを見極め、それに応じて適切な向き合い方が出来なかった時、「間違った。」という後悔をしたことはありました。

嬉しかったことは、毎日です!私が部員の気持ちを少しでも分かりたいからと、一緒にランニングやトレーニング付き合わせて欲しいとわがままを言った時も付き合ってくれ、最後まで声をかけて待ってくれたり、そんな些細な毎日の出来事が幸せでした。あと、部員が間違って「お母さん〜」とか「ママ〜」とか言ってきた時は嬉しかったです(笑)

 

甲子園は首藤さんにとってどんな場所ですか?


首藤一年生で初めて行った時は歓声と球場の広さと人の多さで鳥肌が立ち、絶対自分たちの代で戻ってくると強く思ってたので憧れではなく、戻る場所でありました。

 

社会に出てから高校時代に野球部のマネージャーを経験していて良かったと思うのはどんなことですか?


首藤自然と気配り目配り心配りができること、分け隔てなくどんな方ともある程度コミュニケーションが取れること、忍耐力があること、声がでかい、偏見がないこと、行動力があることが良かったと思います。

時代が変わるターニングポイントの渦中にいたことで、社会に出てから当時のお話をよく聞かれる事もあったと思います。改めて現代社会と照らし合わせて、女性が活躍できる社会づくりに必要なことはどんなことだと思いますか?


首藤例えで言うと女性議員の数が圧倒的に少ない分、女性特有の悩みなどの声が届きにくいと思うので、男性も女性も関係なくもっと想いや意見を口にし、尊重し合える社会になるよう、これからも男女共にリスペクトすることが必要だと思います。

 

首藤さんにとって野球部のマネージャーはどんな役割だと思いますか?


首藤女子マネージャーがいない高校でも全国優勝する高校はあります。日頃からの練習を見ていて、実際に関わってもっとこうした方が練習がより良くなるなど気付けることがあります。マネージャーにしか出来ないこと、マネージャーがマネージャーである意味、そこにいる意味を考えて誰よりもチームに寄り添えるポジションだと思います。
 

これからの人生の目標があれば教えてください。


首藤現役時代は野球のことしか考えておらず、将来の夢など特になかったのですが、チームのために過ごした高校生活があったからこそ卒業後は自分のために、と色んな場所に行きいろんな経験をしてきました。これからも野球には携わりたいと思っています。そしてこれからも野球人口が増えるように私なりに発信していきたく思います。そしていつか始球式にお呼ばれする日を夢見て肩、作っておきます!
 

甲子園を目指している球児に応援コメントをお願いします


首藤:指導者、球児、マネージャー、保護者、学校関係者含めみんながチームであると思います。チームが一つでなければ成長できないと思いますし、周りからも応援したいと思えるチームにはなれないと思います。お互いが尊重し合い、高め合い、励まし合って甲子園行きの切符を勝ち取るためにも日頃の学校生活や私生活から当たり前のことを当たり前にこなし、徳を積み、日々練習、野球に没頭していつまでも野球小僧でいてください。
 

社会で頑張る元甲子園球児たちに応援コメントをお願いします


首藤:野球部として過ごした日々は社会でも役に立ってることと思います。野球も社会も一人一人、皆必要です。ピンチがあったとしても9回裏2アウトだと思って、踏ん張ってチャンスに変えましょう!WBCもありましたが、人々を感動させれるスポーツをしていたことを誇りに、これからも胸張って"顔晴って"ください。

Information
ミスター甲子園では甲子園に出場経験のある元甲子園球児のコーチ登録をお待ちしています。培ってきた野球技術や知識を社会に還元したい元甲子園球児は、申請ページよりコーチ登録のご申請をお願い致します。


個性豊かな野球部員のマネージャーはとてもエネルギーが必要なことばかり。2023年春のセンバツ大会も女性マネージャーの活躍が様々な形で取り上げられており、首藤さんが高校野球における女性活躍のターニングポイントになったことは言わずもがな。芸能活動をはじめた現在も、野球界の発展と始球式のマウンドに立つことを夢みて日々活動中。今後の活躍に要注目です!


Photo:Naoki Muramatsu
Edit:Mr.KOSHIEN


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