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【2023年WBC】オーストラリア戦の大谷翔平ホームランから学ぶ、ボールに力を伝えるトップの作り方

【2023年WBC】オーストラリア戦の大谷翔平ホームランから学ぶ、ボールに力を伝えるトップの作り方

メジャーリーガーや日本のプロ野球選手を見ても同じ打撃フォームの選手は一人としていない。これはいったい何を意味するのだろうか。打撃は10回の打席で3回ヒットを打てば良いバッターと称される。逆を言えば、7回はミスができるという解釈もできる。つまり、打撃に「100%」は無いということ。どんなに良いバッターでも、ヒットを打つためには多種多様な投手に対応していく必要があり、スイングも1球ごとに調整しているのだ。

ヒットの確率を上げるためにはいくつもの条件を考える必要があるが、その中の一つに「ボールを強く打つ」ことがある。中でも大谷翔平選手は世界最高レベルの打球速度を誇り、飛距離も異次元。体の力が強いのはもちろんだが、どのようにボールに力を伝えているのか。WBCオーストラリア戦でのホームラン打席を観戦した編集部スタッフがご紹介。

|構え
まず注目したいのが「構え」。左ヒジは耳と同じ高さまでもってきているが、実はここにパワーを生み出す秘密がある。この肘の位置こそ、力を生み出す初動において必要なポイント。野球をやってきた人なら一度は耳にしたことのある「脇をしめて打ちなさい」というワード。だが、構えから脇をしめると力を生み出す事が難しい。大谷の構えを見て強い力が生み出されると思われるポイントは肘の位置を高くしていること。肘の位置を高くすることでインパクトポイントまで距離をつくることができ、バットを加速させるための助走を十分に確保するこができる。また、人の力は横から横よりも、上から下に向けた方が力が入るため、より強いエネルギーを生み出している。
肘の位置が低い選手と比べてみるとインパクトポイントまでの距離に差があることがわかる。力の伝わり方も横から横の場合は、力がキャッチャー側に逃げてしまうため、効率良くボールに力を加える事が難しい。


|スイング
ここまでは力を生み出すための準備動作となるが、ピッチャーが投球動作に入ると同時にバッターはつくったトップから、インパクトに向けて動きはじめる。
大谷の場合、ここで左肘を勢いよく右肩が開かないように体の内側(左脇腹付近)を通し、タオルを絞る時のような内側にかかるエネルギーを一気に解放し、バットのヘッドスイングスピードを最高速度に到達させ、インパクト時に最大エネルギーをぶつけている。


|フォロースルー
インパクト後のフォロースルーでは、軸足側の左半身のエネルギーを残すことなく伝えるため、しっかりと体を回転させ、体がブレる事なくピタリととまっている。

打撃は奥が深く、今回ご紹介した内容が全員の打者に適応するかと言われればそうではない。まずは練習で取り入れ、自分自身の感覚や打球感を確認しながら、日々アップデートが必要。打球が弱い、飛ばないと悩んでいる選手は一度試してみてほしい。


Edit:ミスター甲子園 編集部


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