野球をやり始め、まず最初に指導者から教わる一つとして「ボールを正面で捕る」という事がある。キャッチボール相手の送球が自分の体から外れた位置にくると、足を運びキャッチボール相手に対して正面向きで捕球したり、守備では左右の打球に対しても足を運び正面に入るというのは基礎知識として教わってきていると思う。

ではなぜ正面でボールを捕球しなければいけないのか、ここについては大きくは２つ意図があり、「捕球」の後には必ず「送球」がセットで付いてくるため「ボールを後ろに逸らすリスク軽減」「送球動作への移行のしやすさ」を意識する必要がある。ゆえに守備においては打球に対して横向きでキャッチした場合「正面に入って体の前に落としなさい」と言われる状況に。

しかしこれ、「正面」という概念が実は間違っている人が多い。ボールがくる方向に対して正面向きで捕球＝正面と思っている人がいるが、実は「体の前面＝正面」なのだ。下のイラストは実はどちらも正面キャッチになるが、右の捕球体勢では正面に入っていないと考える人が多い。
正面キャッチはボールが来る方向に対してではなく、「体の正面（へその前）で捕る」という事をまずは理解することで、あらゆる難度の高い打球処理に対応可能となる。では実際にプロ野球選手やメジャーリーガーが実践しているバリエーション豊かな「正面キャッチ」をご紹介。

｜広島カープ 菊池涼介 
（source：【球団お墨付き】勝ちグセCarpチャンネル https://www.youtube.com/watch?v=ie4vhD5wJEY）

内野と外野の間に落ちそうな打球に対し、バッターに背中を向け落下地点に瞬時に移動し捕球。バッターに対して背中向きではあるが、ボールを正面でキャッチしている。ランナーがいる場合タッチアップの送球にもスムーズに対応できる高難度の正面キャッチ。

｜サンディエゴ・パドレス タティスジュニア 
（source：たますけチャンネル https://www.youtube.com/watch?v=DbmxG6jqJOw&t=54s）

三遊間の強く深い打球に対し、横向きになり体の正面でキャッチ。難しい打球のバウンドにも対応しやすく、捕球後の送球も反動をつけやすいため強いボールを投げられる。

ボールに対して余裕をもって正面に入れる場合は足を動かし捕球した方がいいが、これまでボールが飛んでくる方向に対し正面を向けて捕球することを正面キャッチと思っていた人は、キャッチボールから意識を変えて練習し、捕球から送球までのスムーズな流れを習得してみて欲しい。


Edit：ミスター甲子園 編集部